前提
- 無職≒新しいパソコンを買うお金はない
- The Talos Principle がやりてえ
- ゲーム以前に昨今のさまざまなソフトウェアやらwebコンテンツのヤバい描画負荷にThinkpad X220(2011年発売のモバイルノート)が耐えられない
- お友達から要らなくなったグラフィックボード(GTX970)とATX電源(650W)をもらえた
やっていこう
というわけで今年のはじめ頃に外部GPU環境を構築しました。その記録です。使ったものは以下の通り。
- ThinkPad X220
- MSI GeForce GTX970 GAMING 4G
- EXP GDC
- ATX電源
もちろんふつうのノートパソコンにふつうのグラボをそのままぶっさすことはできないので、ノートパソコンとグラボの間に何かをかます必要があります。それが上に書いたEXP GDCという怪しい(本当に怪しい)機械です。
そのへんの電器やさんには売ってない、中国メーカーの製品なのでAliExpressに3,500円ちょっと支払って購入。注文したのが2020年の1月1日で、まだ「なんかコロナ?とかいうのがあるらしいね?」ぐらいの時期だったこともあってわりとスムーズに1週間余で到着。
組み立てる作業自体はただつなぐべきところにケーブルをつなぐだけなので写真も撮ってないですね。省略します。完成した様子はこちら。
映像は以下のような流れでディスプレイにたどり着く仕組みです。
記事最後まで書いてから思い出したのでここに書くんですが、実はX220はBIOSでデバイスの接続をホワイトリストでチェックしていて、通常のBIOSでは外部GPUを認識してくれません(とのこと)。これについてはX220のカスタム情報が集まる謎のサイトに情報がありました。X220はキーボード仕様が変更になる最後のモデルだけあって妙に根強い人気があり、こういうノートパソコンをバラバラにして遊べるオモチャだと思っているオタク向けの情報もまとまっています。
とにかく、素のBIOSのままではグラボを認識してくれないので、有志が開発したホワイトリスト除去済みのカスタムBIOSをX220に入れてあげます。手順は下リンク先の「BIOS / FIRMWARE」を参照。
カスタムBIOSを導入して、接続するとWindows君が勝手にドライバを入れてくれます。Windows君がドライバを入れてくれなくてもnVidiaのドライバ配布サイトからいい感じのものを探してダウンロードしてくればいいだけです。
ついにお楽しみのThe Talos Principleも起動できることを確認。最高!
嬉しい! 嬉しい……?嬉しいとはいったい……? 僕の感情とは……存在とは……なぜ僕はここにいる……なぜ……?我が主よ……
よかったこと
- X220単体ではできなかったゲームができるようになった
- 構築はほぼつなぐだけで意外と簡単だった
- EXP GDC自体はお手頃価格だった(グラボと電源くれたお友達に大感謝)
ややよくなかったこと
- ファンの音がする
そりゃそう。デスクトップPCなら机の下の筐体の中にあるべきATX電源とグラボが机の上に丸出しで乗っかってるので、ファンの回転音は直接聞こえます。しかし常にブオンブオン回ってるわけでもないし、それほどうるさくないモデルなのでヘッドホンをすればほぼ気にならない範囲です。
- 邪魔
そりゃそう(2)。ATX電源とグラボが机の上に(2)。もらった電源はプラグイン方式ではなく全部のケーブルが全部出てるタイプなので、使わないケーブルがゴチャっと机に乗っています。今の所使わないケーブルはがんばって結束バンドで留めて隅のほうにまとめてあるので、キーボードとマウスの配置に不自由を感じるほどではありません。
- パフォーマンスはそれほどでもない
グラボはちょっと世代が古いもののミドルクラスのGTX970、ひとりでゲームするだけならそんなに苦労することはなさそうかと思ったんですが、ちょっと重いTPSとかFPSとかのゲームをしているとCPUの方がボトルネックになってプレイが厳しいことがけっこうあります。今まではそもそも起動しなかったレベルなので大進歩と言えばそうなんですが、まあ実際操作のラグを感じるとちょっともう一回プレイする気にはなりませんよね、ゲームって。ちなみにTalosは超快適でした。マルチでもないし複雑な物理演算とかもないので、CPU負荷が小さいんでしょうね。
もうひとつパフォーマンスについて、X220とディスプレイの間の帯域(帯域が正しい表現なのかどうかわからんが)が問題になることもあります。
ExpressCardはPCI Express x1がベースになっていて、現在一般的にグラボの接続に使われるPCI Express x16と単純に比較すると16分の1しか帯域がありません。当然、そのぶんデータ読み込みの速度は相当落ちます。大量のアセットをGPUのRAMに読み込むような重めのゲームはロードに時間がかかります。
また、GPUに接続したディスプレイに出力するなら問題ありませんが、X220側に出力する場合は上記の狭い帯域をさらに往復で使用することになるので、かなりパフォーマンスが落ちます。ゲームをするときには基本的に外部ディスプレイ出力のみでプレイしたほうがよいです。
まとめ
働いて給料をもらってちゃんとしたパソコンを買いたい。
余談
こういうものがあります。AliExpressでは15,000から20,000円の間です。僕が使ったEXP GDCはExpressCardとPCI Expressを接続するボードだったんですが、このR43SG-TB3はThunderbolt3とPCI Expressを接続できます。Thunderbolt3は最大転送速度40Gbpsとなっていて、まあ規格がそれなので実際はもうちょっと下がるんだろうとは思いますが、少なくともExpressCardよりはマシ、相当マシな帯域を持っています。
で、実はTB3で外部GPU環境を構築するソリューションは既に製品化されていて、ガワと電源と基盤がセットになったものがGPUボックスとかeGPUエンクロージャとか呼ばれるひとつのジャンルになっております。例えばRazerからはRazor Core X/X Chromaという製品が出ていますね。Razerなのでもちろんいい感じに光ります。
ただし、超高いです。日本から購入しようとすると40,000から50,000円が相場です。R43SG-TB3との価格差おおよそ20,000から30,000円。ATX電源のぶんを抜いてもそれこそ安価なグラボ1本ぐらいの差があります。
というわけでThunderbolt3搭載のノートパソコンとグラフィックボードとATX電源を持っていて自宅ではGPUパワーがほしいけどノートパソコンを持って外出することもあるから外部GPU環境がほしい~~なんて人がいれば、この怪しいR43SG-TB3で外部GPU環境を作って、動作確認してみてほしいな~~という余談でした。おわり。
追記
本当に、本当にこの記事で書いたようなよくわからない環境構築について興味がある場合は、
での情報収集をおすすめします。特にBUILDSで自分の持っているパソコンで動作確認がとれているかどうかの確認をしておくと__気持ちの余裕__が違います。バクチでウン万円の機械を壊しても痛くもかゆくもない場合は別に何も言いませんが……。