(過去に別サイトで書いた記事の転載版です)
というわけでサイレントのアセンション20において堕落の心臓を打開した。こういうときに浮かれてアイアンクラッドやディフェクトの攻略をはじめるとサイレントのやり方を忘れる(脳みその容量が2バイトしかない)ため、プレイ中に考えていることをメモしておく。なおSlay the Spireというローグライクデッキ構築型カードゲーム自体についての説明は省かせていただく。各自でsteamや日本語wikiなどを参照のこと。なお2層以降まで書くと長くなりすぎるので序盤の方針を中心に書く。対象読者は未経験者や初心者が中心と考えている。
今を生きること
このゲームの9割9分9厘ぐらいの行動指針はこれである。なぜなら敵はおしなべてクソ強く、次のターンとか次の敵とか次のイベントとか次のボスとか次の層とか将来とか進学とか就職とか結婚とかに割ける資源はほとんどない。まるで我々の人生のようだ! 人生の話はともかく、このゲームは今を生きることが将来を生きることに繋がる、これを頭に入れておいてほしい。
デッキの強み
今を生きるために何をすればいいのか? それはデッキの強みを理解することだ。ゲームスタート時点でのデッキは超弱いので、そのままゲームを進めると1層すら突破できない。しかしこのゲームをはじめたばかりの場合は何をとっかかりにしてデッキを強くすればいいのかもイマイチ分かりづらい。ここからは具体的な強化指針をいくつか挙げていく。
脱力の維持
脱力とはデバフの一種であり、脱力を与えられたものは与えるダメージが25%減少する。脱力nは脱力がnターン継続することを意味する。なんとなく強そうじゃない? 実際強い。仮に常に敵に脱力を与えられるとしたら、自分が確保するブロック値は脱力を与えられない場合と比較して25%節約できる。これは非常に大きい差で、ざっくりした話になるが通常時4枚のカードを使ってやっとの思いでブロックしていた相手の攻撃を3枚でいなし、残りの1枚で戦況をより有利にもっていくことができる。デッキの強みとして最初に活かすべきはこれだ。 脱力は相手の攻撃力が高ければ高いほど数値的な恩恵も大きくなる。一定値のブロックを付与するカードは何らかの手段で強化しない限り、敵のアタックが上昇するにつれて陳腐化していくが、脱力は常に敵のアタックの25%の価値を保証されている。脱力というシステムの強さは上の通り。続けて脱力を与えるカードを見ていこう。
無力化
ゲーム開始時点では無力化が1枚ある。このカードはスターター最強なのでなにか他に理由がない限り最速でアップグレード(以下UG)を推奨する。0コスト/ダメージ3/脱力1からUG後は0コスト/ダメージ4/脱力2となる。ダメージはおまけ程度だが、脱力1から2になるとこのカードの価値は飛躍的に上昇する。1層の開始時点でデッキはスターターカード12枚(アセンション10以上は13枚だがここでは無視する)だが、これは毎ターン5枚のカードを引くこのゲームのシステム上2ターンと少しでデッキが1周することを意味している。3枚のカードを追加すると15枚で3ターンかかる。この時点で未UGの無力化は3ターンに1回だけダメージを25%軽減するという、まあ使わないよりマシ程度のカードとなるが、UG済なら3ターン中2ターンは脱力を付与できるたいへん素晴らしい性能となる。デッキ枚数が少ない序盤(できれば最初の休憩所)でUGしてこの恩恵をしゃぶり尽くすのがポイントだ。 無力化の強みは他にもある。それには1層ボスをクリアするまでは1ターンに使えるエナジーは3しかないことが関わっている。これは言い換えると毎ターン配られる5枚の1コストカードのうち2枚はゴミになっているということだ。その点無力化は0コストのため、必ずプレイでき腐ることがない。さらにスターターに含まれるストライク/防御は使っても全く意味のないターンが存在するが、UG済の無力化は脱力2の付与が次のターンにも影響するため、その点でも腐りづらい(2ターン続けて殴らない敵は多くない)。1層では唯一アタックに対して反撃(3ダメージ)のあるモードを持つガーディアンに対して使いづらいタイミングがあるが、攻撃モードの旋風刃(5*4)やフィアースバッシュ(32)が痛いので、反撃ダメージは割り切って受けつつ攻撃モードを脱力付与状態で迎えることでトータルの被ダメージを抑えたほうがいいだろう。
不意打ち
コモンというレアリティの都合上、無力化の次に手に入れる機会が訪れるのは不意打ちになることが多い。1コスト/7ダメージ/脱力1という性能は単純にスターターのストライク(1/6)より強力であり、1層ではそれだけで採用に値する。1層ではボスもエリートもターンが経過するほどこちらが不利になるため、性能の良いアタックカードを確保して1ターンあたりのダメージを増やすにこしたことはない。コモンで入手機会も多いが、あまり枚数を増やしすぎるとデッキのバランスが崩れがち。2層以降でも強いかと言われると微妙なところなので、採用は1枚が妥当なラインだろう。無力化とあわせてUGすればデッキ内の合計脱力が4になるため、デッキが20枚以下におさまることがほとんどである1層では常時脱力を付与できる。 1層エリートの3体どれに対しても有効に作用する。ラガヴーリンとボスグレムリンは可能な限りアタックを振る早期決着プランをとりたいエリートであるが、脱力を付与するとブロックに回すカードを減らせるため、プラン遂行に噛み合う。他2体ほどではないがセントリーも同様に両端のどちらかを潰すのが優先となるが、アーティファクトを持っているためデッキにデバフを複数積んであることが重要となる。
足払い
2コスト/11ブロック/脱力2。レアリティはアンコモンだが、1層でも戦闘報酬とショップを合わせればまずまず獲得の機会はある。性能は2コストとやや重めだが、ブロック値が11あるため脱力と合わせれば1層のほとんどの通常敵の攻撃にに耐えることができる。防御を2枚使うよりも強いため、コストの重さに尻込みせずに積極的にとっていいカード。これがあると無力化とあわせて脱力の維持がしやすいため、不意打ちよりもダメージの高いアタックカードをとりやすくなるのもメリットのひとつだ。
劇毒
2コスト/全体に毒4と脱力2/廃棄。これもアンコモンで入手性は低くはない。脱力とは書いてあるが、性質はAoE(カードゲームプレイヤーには全体除去やスイーパーと言ったほうが通りがいいかもしれない)だ。強化すると毒7になるため、次ターンを含めると全体に7+6=13点の毒ダメージが確定する。これは1層の地味難敵であるスライム5体およびグレムリン4体に対する強力な対策カードとして機能する。どちらの敵も脱力付与やブロック付与がいやらしく十分なアタックがないと苦戦するが、毒はそのどちらも貫通するのもありがたい。後述するが1層はAoEを早めに確保しておくことが重要なため、見かけたらピックしておきたい。
強力なアタック
敵は殴らないと死なない。当たり前の話だが、このゲームの敵の苛烈な攻撃を受けて死にすぎるとある時期で防御病とも言えるブロックに偏るデッキ構築に頼るようになる。もちろんそれで勝てるほど塔は甘くなく、1層ボスもエリートも長期戦を拒否する戦略をガンガンとってくるのである程度のターン数で倒しきれる火力を保持しておくのは重要だ。以下に具体的なカード名を挙げる。
ダッシュ
2コスト/ダメージ10/ブロック10。シンプルで強力なカード。アタックとブロックを兼ね備えているのでどの局面でも腐りづらい。1コストあたりのダメージ量とブロック量はスターターカードを凌駕し、コストパフォーマンスも高い。1層エリート前にこれが確保できているだけで随分楽になる。
略奪
2コスト/ダメージ15/次ターンに2ドローを得る。ダメージが大きくUG後は20になるため、1層の低HP敵は即死させられる。このゲームはアタックを予定している敵を倒すことで実質的なブロックを得る行動がかなり重要なため、2コストと重めだが採用する価値は十分にある。ドロー増加が次ターンなのも実は残りエナジー量の関係で即ドローよりもメリットが大きい。
ダガースロー 毒の一刺し はやぶさ斬り 破滅
それぞれコモンの1コスト単体アタックでストライクより性能が良いもの。ダッシュと略奪はアンコモンのため、それらよりもピックする頻度は高いだろう。それぞれ細かい特徴はあるが、1層の序盤でピックするならシナジーもほとんど期待できないのでどれでも似たりよったりだ。ただしボスにヘクサゴーストやスライムボスが見えている場合は状態異常を捨てられるダガースローを優先してもよい。
五月雨ダガー フルアタック
少し上の方で書いたAoEは各レアリティに1枚ずつ単純にダメージを与えるカードが存在する。これらもスライムとグレムリンに対しての備えとして1枚か2枚はUGして持っておきたい。単体に対してもダメージ量は十分あるため、上の単体アタックより優先して良い。ダイダイダイだけは使い切りのため、スライムボスに対しては分裂するまでとっておいたほうがよい。
致死毒 バウンドフラスコ 有毒ガス
厳密にはアタックではなくスキルだが、性質としてはアタックなのでここに挙げる。毒はブロックを無視するのとアタックではないため反撃を受けないのと継続ダメージという性質が1層ボスのガーディアンに噛み合いすぎているため、ガーディアンを見たら毒を優先してよい。スライムボスは分裂前のHP調整が難しくなるため、個人的にはアタックカードを優先している。
1ターンあたりに使えるカード枚数
考え方としては単純で、カードを1枚使うより2枚使うほうがつよつよのパー、というものだ。ではどのようにしてこれを実現するか、主に二つのアプローチがある。
コストを下げる
スターターに含まれるカードは無力化を除いてすべて1コストであり、また前述の通り1ターンに使えるエナジーは3であるがゆえに1ターンに使えるカードの枚数は基本的に3、ということになっている。つまり0コストのカードを増やせば1ターンに4枚5枚使えるじゃないか! そういうことだ。0コストのカードについて見てみよう。
スライス
0コスト/5ダメージ。以上だ。説明することがない。
ディフレクト
0コスト/4ブロック。以上だ。説明することがない。
0コストカードを加えて1ターンあたりに使えるカード枚数を増やすアプローチには注意点がある。それはデッキが1枚あたりのカードパワーが下がるという点だ。1枚あたりのカードパワーが下がるといくつかの弱点ができる。
- 筋力低下、敏捷性低下に弱くなる → どちらも割合ではなく一定値を下げるので低パワーのカードへの影響が強い
- 状態異常、ドロー減少に弱くなる → 枚数をプレイできなくなる
- 特定のボスに弱くなる → カード枚数を多くプレイすること自体にデメリットが出る
逆にフットワークやクナイや手裏剣などはプレイする枚数を多くすることでメリットを多く享受できるが、たいていの場合まだ持っていない上記のキーパーツへの受けを変に意識しすぎるとデッキが弱くなってパーツを入手するまでもなく死ぬ。今を生きるという原則をゆめゆめ忘れないでほしい。
エナジーを増やす
これは1ターンあたりにプレイできる枚数を増やす別のアプローチだ。簡単に書いたが0コストのカードを増やすよりもエナジーを増やす方法は限られている。いわゆるエナジーレリックのほとんどは入手手段がボス報酬しかないため、1層では以下の手段に頼ることになるだろう。
飛び膝蹴り
1コスト/ダメージ8/次のターンにエナジー1を得る。地味だがエナジーが限られていて優秀なアタックカードがない1層で輝く性能。恒久的なエナジー増加ではないため、1層からガンガンデッキを厚くしていくと相対的に恩恵が薄くなる。
先読み
1コスト/次のターンにエナジー2を得る。**マーーーーーーーーージでいらん。**ほぼとることなし。誰か強くて丸い使い方教えてくれ。
エナジーが増えるのは2層以降のため、1層では3エナジーを前提として余計なことを考えないのが個人的なおすすめである。
デッキの強みを伸ばす優先度
- 脱力
- アタック
- 枚数 経験上この順がローリスクでもっとも安定度が高い。というかプレイ枚数はあとからどうとでもなるので、脱力の安定とアタックを強化していくと1層は安定する。脱力が安定しない場合はブロックカードの枚数を増やすと良いだろう。
各ボス対策
1層ボスはどれも特徴ある戦略をとってくるため、ある程度デッキ全体で対策をしておくことで勝率を上げたい。最後に各ボスへの対策を挙げる。
スライムボス
**対策必須。**勘違いしやすいが分裂後の立ち回りは重要ではない。分裂前に命を賭けて全力を叩き込むことが唯一の勝機だと認識してほしい。強力なアタックカードを揃えるのももちろんだが、火炎ポーションやアタックポーションを持っておくのが一番の対策となる。HP半分ギリギリのラインから手札の全アタックとポーションを使えば40点ほどのダメージを稼げるだろう。そこまでいけば分裂後はHP30程度となるため、AoEとアタック1枚程度で再分裂ラインに達し、一番辛い3対1や4対1のターンを限りなく短くできる。スライムボスを見たらポーションを購入できる商店を経由できるルートを選択するのが対策のひとつと覚えておこう。
ヘクサゴースト
それほど辛くない。開幕のインフェルノは威力が残HP依存のため、直前の休憩所ではブロックが十分であれば休憩せずに鍛冶をしたほうが得。トゲポーションかまきびし(パワー)があれば2回のインフェルノで36点のダメージを確保できる。3回目以降のインフェルノはおそらく受けている時点で勝機が薄いのでこのへんを目安に考えたほうがよい。火傷を混ぜてくるためデッキ枚数を絞りすぎているとかなり痛い。基本的には高効率のアタックカードで速やかに倒すことを目標とし、火傷の処理はついでにできたら得ぐらいの感覚のほうが結果につながりやすい。
ガーディアン
楽。脱力を安定して付与できていれば脅威となる打撃はフィアースバッシュぐらいしかない。ただしあまりにも火力が出ないと蒸気解放での脱力と弱体付与で崩されるので、3ターンで40から50点程度は出せるようにしておこう。先に書いたが毒は非常に有効なので毒カードとあわせて毒ポーションもあればかなり楽。
ざっくりと書いたがそれでも少々長くなった。ここまで読んでくれた人だけに教えるが、フットワークはゲロ強いので見かけたら絶対にピックしよう!健闘を祈る。
ブロックカードについて(10/31 追記)
一晩経って読み返したらブロックカードについて足払いぐらいしか書いてなかったのヤバいなと思ったので何枚かいい感じのを書く。その前に強調しておきたいのは、デッキのバランスは常に気にかけながらピックする必要があるということだ。あれも強いこれも強いでピックするとどこかの時点で強いカードを追加するメリットよりもデッキが多くなりすぎて強いカードが回ってこないデメリットが大きくなる。脱力の維持もしづらい。ブラー(後述)も弱くなる。1層ではそうでもないがこのあたりは2層以降でその重要さに気づかされることが多い。
バックフリップ
1コスト/ブロック5/2ドロー。さっそく話をひっくり返すが、バックフリップはデッキの回転速度を高めるので1億枚追加してもよい(おおうそ)。1層時点ではエナジーの量的にドローしたぶんを使い切れないことが多いが、ほとんどの場合デメリットではないので気にせず入れとけ。2層以降でどんどん強くなるカード。
ドッジロール
1コスト/ブロック4/次ターンブロック4。これもかなり強い。2ターン続けて殴らない敵は少ないので使っておけばとりあえず役に立つ。特筆すべきはフットワークとブラーとの相性の良さだ。フットワークの敏捷性が1枚で2回分乗るし、ブラーと合わせると持ち越したブロックに上乗せできる。
外套と短剣
1コスト/ブロック6/ナイフを1枚得る。安定感の塊。1層時点では素のブロック値が高くて助かることが多い。UG後はブロック値が増えずナイフが2枚に増える。ブロック兼アタックなのでダッシュに役割が近い。スキルでありブロックでありアタックでありナイフであり0コストアタックであり1枚で2枚以上プレイするカードであり廃棄するカードであるという性質上受けがおそろしく広いカードなので困ったらとっておくと後から何かしらの恩恵を得られることが多い。
フットワーク
1コスト/敏捷性2を得る。神なので拾う。以上だ。
ブラー
1コスト/ブロック5/次ターン開始時ブロックを失わない。神なので拾う。以上だ。
(10/31 12:53 追記おわり)